「Figuier 1973」は、Opal Breeze Thicketが最初に作ったコンポジションであり、今も現行コレクションに残っている。五十年以上、配合の骨格は変わっていない。なぜ変えないのか。そして、無花果の葉という原料が香水においてどのような役割を果たすのかを、調香師Céleste Morinが説明する。
無花果の葉という原料について ¶
無花果の葉は、果実とは全く異なる香りを持っている。青みと苦みと、わずかな乳状の甘さ。葉を手でこすると出てくる汁の香りに近い。香水原料としては、葉から抽出したアブソリュートか、合成の「フィグ・リーフ」素材を使うことが多い。アンリ・ヴォワザンは1973年当時、プロヴァンスの農家から直接葉を仕入れ、自分でアルコール抽出を行っていた。現在はグラースの専門業者から調達しているが、産地はプロヴァンスのまま。
白檀とムスクの役割 ¶
「Figuier 1973」のベースは白檀とホワイトムスクで構成されている。白檀は無花果の葉の青みを温め、石灰岩のような乾いた感触を加える。ホワイトムスクは香りを肌に定着させる役割を持ちながら、主張しすぎない。アンリが選んだのはミソール産の白檀だったが、現在はオーストラリア産のものを使っている。香りの構造は同じで、わずかにクリーミーさが増した。
五十年間、なぜ変えないのか ¶
Célesteは「変える理由がない」と言う。原料の産地が変わったことは一度あった。しかしその都度、最も近い代替を探し、骨格を維持した。香水の配合は、変えるたびに別の香りになる。「Figuier 1973」はアンリの作品であり、それを維持することがメゾンの仕事だと考えている。毎年の原料の微妙な変化は、調香師が調整する。それが生きた香りの意味。
夏に最もよく開く理由 ¶
無花果の葉の青みは、気温が高いほど早く揮発する。夏の肌に乗せると、最初の数分で葉の感触が強く出て、その後白檀の温かみに移行する。冬は逆に、白檀とムスクが先に立ち、葉の青みは後から静かに出てくる。同じ香水が季節によって違う顔を見せる。それを意図して設計したわけではないが、結果としてそうなっている。
「Figuier 1973」のサンプルバイアル(2ml、¥800)は郵送で取り寄せられる。現行コレクション全種の試香はアトリエで。